解説 |
林の縁などをあまり羽ばたかずに滑るように飛ぶ。低山地ではゴールデンウィ−クごろを中心に発生するが,標高が高い場所では7月まで見られる。ウスバシロチョウ属は,ユーラシア大陸や北アメリカに広く分布する寒冷な気候に適応した仲間だ。その透きとおった翅は,5月の青空によく似合う。もうどこを探しても冬の痕跡は見つからない。かつては山里のチョウのイメージが強かった。集落のはずれでネギボウズに集まって吸蜜しているのを,畑の縁から網を差し出して,遠慮がちに,しかし内心ほくそ笑みながら次々と採集したものだ。関東地方では従来この種が見られなかった平野部でも,放棄された果樹園などを発生地として,近年分布地が広がる傾向にある。繭を作って蛹になるという,チョウとしては特異な生態を持つ。日本のアゲハチョウ科のほとんどの種は蛹越冬で,ウスバシロチョウの仲間だけが卵で越冬する。春だけに現れるチョウのしんがりをつとめる。科学園記録種。 |
分布 | 北海道,本州,四国 |
年間の発生回数 | 春1化 |
食草等 | ムラサキケマン・ヤマエンゴサクなどのケシ科 |
成虫の出現時期 | 5月 |
越冬態 | 卵 |