|
成虫 |
|
|
卵 |
幼虫 |
|
|
食草:
カントウカンアオイ |
生息地 |
多摩森林科学園は,東京都八王子市にあり,高尾山塊に続く丘陵地の東端(標高180〜280m)に位置しています。モミ,スダジイ,アラカシなどを主とした約13haの天然林を含む試験林(43ha),サクラ保存林(6ha)のほか,約600種・6000本からなる樹木園(7ha)が設置されていて,大都市近郊としては比較的豊かな植物相・動物相を有しています。
このコーナーでは,多摩森林科学園で記録されたことのある74種を含めた関東・中部地方に生息する約150種のチョウを解説します。写真は原則として関東・中部地方の野外で撮影したものです。
分布 |
本州(秋田県以南) |
年間の発生回数 |
春1化 |
食草等 |
カンアオイ類 |
成虫の発生時期 |
4月 |
越冬態 |
蛹 |
レッドリスト |
絶滅危惧II類(VU) |
解説 |
日本の本州だけの特産種。かつては多摩丘陵,高尾山塊,丹沢山塊などに広く分布していた。今では関東地方で確実に自然発生しているのは神奈川県の石砂山周辺だけで,県指定の天然記念物として保護されている。しかし,そこには何者かによって他産地の個体が放たれた結果,もとからいる個体群との交雑が起こり,遺伝的に汚染されてしまったことがわかっている。新潟県などにはまだ沢山いて,種の存続がすぐに危ぶまれるようなチョウではない。吸蜜植物が開花し食草の新葉が出る春に合わせて成虫が羽化・産卵し,葉が硬くなり林冠が閉鎖する真夏が来る前に幼虫期を完了する。夏から翌春までの長い期間を蛹で過す。雑木林の季節変化にあわせた生活環を持った,スプリング・エフェメラル=春の儚い命。科学園では1970年代に絶滅したと考えられる。 |
※各種のページの見方を「ギフチョウ」を例に紹介します。
Luehdorfia japonica Leech
写真には成虫のほか,卵や幼虫,蛹などが含まれる場合があります。また、各種の食草等や生息地の写真もご紹介します。 |
関東でのおよその年間発生回数(地域によって変わる場合もある)
◎春1化=年に1回春に羽化する種。
◎夏1化=年に1回夏に羽化する種;羽化した年内に死亡する種(ゼフィルス等)と,成虫が冬を越して次の年まで生きる種(1化性タテハ類等)とがある。
◎2化=年に2回羽化する種。多くの場合は春と夏に羽化時期がある。
◎多化=年3回以上羽化する種。 |
幼虫時代に食べる食物。あくまで代表的なもので、それしか食べないということではない。 |
全国版レッドリストのカテゴリー(環境省の第5次リスト2017年発表) |
※ 許可なく,写真・解説等の転載を禁じます。