解説
2013年秋に名古屋市の河川敷で大規模に発生しているのが発見された。わが国で継続的に発生していることが確認された3種目の外来種のチョウ。台湾や中国大陸に分布する種で,国外から園芸用に持ち込まれた食草とともに侵入して広がったと考えられている。在来種のクロツバメシジミと同所的に生息するようになった場合,悪影響を与える可能性もあることから,発見翌年の4月に行政と市民とが協力して根絶を目指した多人数による防除活動が行われた。しかし残念ながら成功には至らず,その後,河川敷だけでなく住宅地にも広がっている。セダムと呼ばれる食草のマンネングサ類は乾燥に強いため,舗装道路のわきや河川堤防のコンクリートの隙間にも生え,屋上緑化にも使われる。街中に食草はあふれているため,いったん広がったチョウの発生を完全に鎮圧することは難しい。ホソオチョウやアカボシゴマダラとは異なりチョウそのものが意図的に持ち込まれたり放たれたりしたものではないが,植物の移動には,このような危険が常につきまとう。
ムシャクロツバメシジミ
Tongeia filicaudis (Pryer)
キャッチフレーズ
園芸植物と共に持ち込まれた外来種
分布 本州(愛知県)
年間の発生回数 多化
食草等 ツルマンネングサなどベケイソウ科
成虫の出現時期 早春-晩秋
越冬態 幼虫
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成虫
成虫 食草:ツルマンネングサ
生息地 生息地

防除のために裏返された食草