フジミドリシジミ
Sibataniozephyrus fujisanus (Matsumura)
解説
吹きすさぶ寒風に耐えながら,北向きの急斜面に張り付いて,イヌブナのひこばえの一本一本をなめるように探していく。頭くらいの高さの枝から純白の卵を見つけるまでに,初心者でもそれほど時間はかからない。成虫を見る機会は多くないが,冬に卵を見つけるのは決して難しいことではない。卵は他のゼフィルスよりもやや大きく,直径1mm。雄の翅表は青白味のかかった緑色。雄は主に午後,一定範囲の樹冠に沿うように飛ぶ“占有飛翔”を行う。年間260万人という世界一の登山者数を誇る高尾山は,古くから本種の生息地として知られてきた。フジミドリシジミは絶え間なく行き交う人間たちと大都会の絶景を見下ろしながら,ブナの梢を今も悠然と飛んでいる。山ガールも山ボーイも,ヤマ中高年も,それに気づく者はいない。普段は高い樹上にすむゼフィルスでも,強風の時には下草などに降りていることも多いので,天気が悪くてもシーズン中には,ついつい山に出かけてしまう。精霊に出会えることは滅多にないが。日本固有種。
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キャッチフレーズ
ブナ林の精霊
成虫
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成虫 食樹:イヌブナ
食樹:ブナ 生息地
分布 北海道(南部),本州,四国,九州
年間の発生回数 夏1化
食草等 ブナ・イヌブナ
成虫の出現時期 6月-7月
越冬態