解説 |
あっという間の出来事だった。日本で最初に発見されたのは1992年,沖縄本島。その後しばらくは,なりを潜めていたため,迷チョウの一時的な発生だと思われた。しかし2001年の与那国など,散発的な発生はあった。2007年に九州本土~近畿地方まで上陸し,2008年も四国を含む広い範囲で発生が続いた。2009年には関東南部の東京都,千葉県,神奈川県などでも記録された。近年の気温上昇のスピードをはるかに超えた勢いで,勢力範囲を拡大したのだ。ソテツの移動による人為的な分布拡大も指摘されている。しかし,市街地にポツンと植えられているようなソテツにも発生する場合があり,自力でも長距離を移動していることは間違いないだろう。ソテツは,九州南部以南にしか自生しない。幼虫時代に柔らかい葉が欠乏すると,米粒とさほど変わらないような大きさの蛹になってしまうが,それでも成虫が羽化できる。この生命力も,分布地を拡げることに一役買っているのかもしれない。 |
分布 | 本州(関東以南),四国,九州,南西諸島 |
年間の発生回数 | 多化 |
食草等 | ソテツ |
成虫の出現時期 | 夏~秋 |
越冬態 | 不詳 |