チョウセンアカシジミ
解説
東北地方の岩手県・山形県と,新潟県北部のみが本来の分布地。トネリコのある川沿いや人家周辺にすみ,ゼフィルスの中では数少ない絶滅危惧種。しかし,近年は新潟県中部や福島県などに放たれたものが定着していて,その場合は国内外来種でもある。絶滅危惧種といえども,分布地から動かして野外で繁殖させることが許されるのは,それ以外に保全の方法がない場合に限られるというのが近年は主流の考え方だ。もともと生息しない昆虫が繁殖することで,同じ植物を餌とする昆虫と競合が起こったり,天敵相を撹乱したり,近縁種がいる場合には交雑が起こり正常な子孫を残す機会を奪ったりすることもあり得る。そこにしかいないものには,そこにしかいられなかった理由がある。山あいの田んぼの縁でひっそりと羽化したチョウセンアカシジミは,斜めからさす陽を浴びて翅をいっぱいに広げた。美しいチョウは,それを長い年月育んできた自然が背景にあってこそ美しい。そのチョウは私たちにそう語りかけている。
Coreana raphaelis (Oberthür)
成虫
成虫 成虫
成虫 交尾
卵殻 卵殻
食樹:トネリコ 生息地
キャッチフレーズ
絶滅危惧種兼国内外来種
分布 本州(岩手県,山形県,新潟県)
年間の発生回数 夏1化
食草等 トネリコ・アオダモなどのモクセイ科
成虫の出現時期 6-7月
越冬態
レッドリスト 絶滅危惧II類(VU)
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