

| 分布 | 本州中部の山地 |
| 年間の発生回数 | 春1化 |
| 食草等 | アブラナ科ハタザオ属 |
| 成虫の出現時期 | 4-7月 |
| 越冬態 | 蛹 |
| レッドリスト | 八ヶ岳・南アルプス亜種/準絶滅危惧(NT) 北アルプス・戸隠亜種/準絶滅危惧(NT) |
| 解説 |
| 谷間に消え残る雪渓の上を,オレンジ色の塊が音もなく横切った。そのチョウのあまりの美しさに,ただ茫然と見送ることしかできなかった。オレンジ色が点になって消えた先の岩場から一頭のカモシカが現れて,こちらをじっと見つめていた。発生する環境の美しさもあいまって,その姿を一度見ただけでも,誰もが皆とりこになってしまう。本州中部山地の比較的標高の高い渓谷地帯だけにすみ,一般に高山チョウと呼ばれる種の一つ。雪どけとともに羽化するこのチョウの発生期は,標高が高くなるにつれて遅れていく。時には増水した渓流を決死の覚悟で渡り,また時には硬くしまった雪上におそるおそる歩を進めながら,とりこになった人たちは,このチョウに会うために高山の春を追いかけ続ける。 |