解説 |
八ヶ岳の裾野の清里や野辺山は,今では別荘やレストランが立ち並ぶリゾート地だが,昭和50年代前半までは,広大な野菜畑や牧場の中を小海線のローカル列車がのんびりと走る絵に描いたような高原地帯だった。ヤマキチョウは,そんな高原に咲く花が一番よく似合うチョウかもしれない。近縁種のスジボソヤマキチョウよりも遅れた8月ごろに個体数が多くなる。越冬した成虫は,時に7月ごろまでも生き残る。長い成虫期を持つことは同じだが,生息地はスジボソヤマキチョウよりずっと局地的で個体数も少ないのは,食樹がより限られた分布をしているためかもしれない。東北地方では絶滅したと考えられる。昼間はまだまだ暑いが,このチョウが現れるようになると,高原には秋の気配が漂い始める。70年代後半から80年代にピークに達したリゾート開発も,今ではだいぶ落ち着いた。ヤマキチョウもいくらかホッとしているだろうか。 |
分布 | 本州(東北地方の一部と関東・中部の山地) |
年間の発生回数 | 夏1化 |
食草等 | クロツバラ |
成虫の出現時期 | 7-9月・越冬後の春~初夏 |
越冬態 | 成虫 |
レッドリスト | 絶滅危惧IB類(EN) |