解説 |
和名は,武士が身につけた赤い糸でつづられた“緋縅(ひおどし)の鎧”の色に由来する。幼虫は群生するため,蛹が鈴なりになることもあるが,そんな時には蛹の大半が寄生されている場合も少なくない。羽化直後は活動性が高いが,夏から秋にはあまり姿を見せない。花を訪れる性質は強くなく,クヌギなどの樹液によく集まる。少年の日,樹幹に止まっていたヒオドシチョウを見つけ,慎重に近づいた。射程距離で一呼吸おき,捕虫網の柄を握り直した瞬間,突然開いた翅の鮮烈な赤色に,思わず手が止まってしまった。目測を誤って空を切った捕虫網をかすめ,彼は林の奥へと滑空して消えていった。春にはボロボロになった越冬後の成虫が,山頂や尾根などでなわばりを見張る。他の虫を追飛する時には,バリバリという音が聞こえる。科学園記録種。 |
分布 | 北海道,本州,四国,九州 |
年間の発生回数 | 夏1化 |
食草等 | エノキ・コゴメヤナギなど |
成虫の出現時期 | 6(-10)月・越冬後3-4月 |
越冬態 | 成虫 |