解説 |
「道志・秋山・丹波・小菅」。これは,山梨県東部の寒村を揶揄した常套句。中高年虫屋には,通いつめた覚えのある懐かしい地名だろう。この地域も今ではだいぶ開けたが,高齢化と人口減少は,山村ではどこでも深刻な問題だ。高齢者が住民の半数以上を占め,冠婚葬祭など共同体としての機能の維持が困難になりつつある集落を限界集落という。そんな集落には,住む人のいなくなった廃屋も多い。薬剤もまかれなくなったウメやスモモの木の周りを,枝に潜ったり出たりしながら我が物顔で飛んでいるオオミスジの姿は,どことなく寂しい。田舎は,都市生活者に郷愁と憧れを抱かせる場所でもある。でもオオミスジを見かけたら,周囲の風景とその風景を作っている人々を良く見て欲しい。そこが,憧れだけで生活できる桃源郷ではないことがわかるはずだ。幼虫は枝の分岐部に吐糸し,その上で冬を越す。花にも来るが吸水習性が強い。冒頭の句は実は俚謡の歌い出しで,それには続きがある。「女子木を伐る,草を苅る」。 |
分布 | 北海道,本州 |
年間の発生回数 | 夏1化 |
食草等 | ウメ・スモモなどのバラ科 |
成虫の出現時期 | 6-8月 |
越冬態 | 幼虫 |