わたしたちは、森林や木に関する幅広い教育活動を森林教育としています。
日本の国土の約7割を占める森林は、国土を守り、水をはぐくみ、野生動物を育て、私たちに木材を提供し、二酸化炭素を吸収・固定し、さらにはレクリエーションの場となるなど、様々な公益的な機能を持っています。この森林について私たち国民が理解を深く得ることについては2001(平成13)年に「森林・林業基本法」で位置づけがなされており、教育のための森林利用が勧められています。

●森林教育の近年の話題を振り返ってみると・・・
1977(昭和52)年の学習指導要領の改訂で、小学校社会科の教科書から産業学習としての「林業」が消えましたが、環境問題の激化を背景に、1989(平成元)年の改訂で国土単元として「森林資源」に復活しました。やがて自然環境の保全や森林の公益的機能が重視されるようになると、、専門家以外の人々が森林ボランティアなど、森づくりに参加するようになりました。また国際的に、地球サミットなどで「環境教育」、「持続可能な開発のための教育(ESD: Education for Sustainable Development)」が重視されたことから、1999(平成11)年には中央森林審議会により「森林環境教育」が提唱され、広く国民の森林に対する理解を深めるための教育活動が盛んになりました。こうして森林の役割が改めて注目され、北海道庁が「木育」を提唱し2006(平成18)年の「森林・林業基本計画」に盛り込まれたり、「木づかい運動」も行われるなど、森林教育はますます注目されています。

●森林教育の内容と特徴

森林の機能が多様であることから、森林教育もまた様々な内容を含んでおり、この研究室ではその内容を大きく森林資源、ふれあい、自然環境、地域・文化の4つに分類しています。これらの活動はそれぞれ目的や内容が大きく異なっており、森林教育の特徴はここにあります。すなわち、様々な内容を含んでいて教育の可能性が広いのと同時に、多様な目的を含んでいて単純にはとらえにくいというわかりにくさがあるのです。

●森林教育の体験活動の要素

森林教育として森林での体験活動を実施する場合、必要な要素として、@森林、A体験者、Bソフト、C指導者という4つがあります。
「森林教育って何だろう?−森林での体験活動プログラム集−」(2009年3月31日発行)
 T 森林教育とは−概念編−   
 U こんなに多様な活動があります−基礎プログラム編−
 V 森林総研による学校や地域との連携から−活動事例編−
森林教育についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください(別ウィンドウでpdfファイルを開きます)
森林総合研究所 多摩森林科学園 森林環境教育担当