森林総合研究所では、森林や木材に関する研究を推進し、最先端の研究成果を広く現場に普及するための森林環境教育の研究を推進しています。多摩森林科学園では研究成果を広く普及することを目的に、年10回の森林講座を開催していますが、新たに体験を通じて森林や木材、自然に親しんでいただくための森林体験講座を2007年9月22日に開催しました。
 森林体験講座のテーマには木材を取り上げ、地球温暖化問題につなげた内容としました。本体験講座は、木材に関する環境教育プログラム開発の研究成果の一環(科研費:19500775 「循環型社会における木材の役割を重視した木の環境学習教材の開発と実践」)として実施したものであり、さらに林野庁が推進している「木づかい運動」や木に親しむ「木育」への協力の一環でもあります。
 森林体験講座の内容は、次のとおりです。

テーマ:「木材の不思議な世界−さまざまな木材を見てみよう−」
@ 身近な木 −割り箸のいろいろ−
A 木は沈むの?浮くの? −いろいろな木の比重と密度−
B 木のしくみ −立体模型づくりと木材ブロックの観察−
※プログラムの詳細はこちら(プログラムページにジャンプします)
 

多摩森林科学園公開講座 森林体験講座 「木材の不思議な世界−さまざまな木材を見てみよう−」
(多摩森林科学園 環境教育機能評価チーム)
当日は小学生から大人まで15名の参加を得て、和気あいあいとした楽しい実習となりました。普段は何気なく利用している割り箸は、改めて
比べてみるといくつもの種類があり(当日は5種類を比較しました)、木材の違いに驚いていました。割り箸を通じて木の種類を実感した後で、
木材の比重を比較する実験をしてみると、さらに木材の違いがはっきりして、感嘆の声があがっていました。
最後に電子顕微鏡で見た木材の内部の構造を学び、性質の違いを実感しました。
実習後には質問が次々に出て、参加者の関心の高さがうかがえました。参加者の中には、総合学習や自然の学習のために参加された小学校の先生もおられました。
 参加者へのアンケート調査からは、全体の感想(4段階評価)では「とても良い」と「良い」が合わせて8割以上となり、大変好評でした。
3つの実験、実習別の感想(5段階評価)で「とても良い」「良い」と答えた割合は、@割り箸67%、A浮力実験80%、B立体模型づくり80%で、
「不満」「やや不満」の回答は0%でした。
 今後は、研究開発した環境教育プログラムを、学校の授業で取り入れるための検討を継続して実施していきたいと思っています。
木の内部の構造を比較する
森林総合研究所 多摩森林科学園 森林環境教育担当